『美味しい食材が生まれる半島の語りべとして』

【HONOKA 野菜ソムリエ】早川明宏 × 【光栄運輸株式会社】高橋栄美 × 【半島農家】小林真人 ×

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『半島の農家と地元の料理人を結びつける』をテーマとして誕生した「半島物語」プロジェクト。
それは「自分達が作った新鮮で美味しい食材を食べてもらいたい生産者」と「より新鮮で美味しい食材を使って料理をつくりたい料理人」そしてその両者の思いをつなぎ、「地元に地元で作られた食材をより早く届けたいという運送屋」の三者の思いが合致して生まれたものです。その思いは徐々に地元エリアにも浸透してきており、今後も「半島物語」の考え方に共感する料理人や半島農家を増やしていきたいと考えています。
第1回の対談はHONOKAの野菜ソムリエの早川氏、半島農家の小林氏、それをつなぐ運送業の光栄運輸株式会社の高橋氏の三者で、「半島物語」との出会いやプロジェクトに対する
思い等を、ざっくばらんに対談しました。

半島物語との出会いは?

小林

半島物語との出会いはやっぱり高橋さんとの出会いが一番最初ですね。
僕はもともと市場にしか出荷していなくて、飲食店さんとかに自分の野菜がどういうものかって評価されるのが
すごく興味があったんですよ。でも実際そういう機会がなくて、流通するシステムや場所がなかったんですけど、
そこで高橋さんと出会ったことによって大きく変わっていったかなっていうのが一番最初のキッカケですね。

早川

僕もほんとに半島物語との出会いは高橋さんが…

高橋

みんなしてヨイショしてくれる(笑)

早川

(笑)料理をつくる側も、やっぱり畑から直でとか、そういったものをやりたいという願望は皆さんあるとは思います。

小林

そうですよね。

早川

でもなかなかそこまでの行動をする一歩っていうのが、皆さん仕込みに追われて大変であったりとか時間がとれないというところですよね。、
農家さんと直接やりたいなー、農家さんから直接食材をもらいたいという思いをまさしくやってくれたというところが、すごい感謝していますね。

小林

高橋さんはどういうキッカケで半島物語を始めたんですか?

高橋

私は(自社が)全国のチャーターができる小回りの利く運送屋だと思っていたので、畑から直接シェフにっていうのは全然苦にならなかったですけど、食べることが大好きなので、美味しいものを作ってもらいたいな、一番美味しいものをつくるには良い食材がベストかなって思ってたんです。
やっぱり物流の世界というのは(食材が届くまでに)2~3日かかってしまっているのが現状であって、それをカットしたい。
そして主婦目線で良い食材を届け、シェフにマジックをかけてもらいたいなっというのが一番の希望だったんです。

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半島物語というプロジェクトを知った時の印象は?

早川

一番最初どうでした?

小林

直接農家さんから飲食店さんに流通化するシステムっていうのを高橋さんがやり始めた後に、
半島物語っていう名前が付いたと思うんですが、僕の畑のあるところは田原町で、渥美半島の先っぽなんですけど、
この流通システムの名前に「半島」っていうのがつくのが、地元の人からすると少し嬉しくて、なんかこれだったら多分、「渥美半島の食材なのかな?」とかわかってもらいやすいと思うし、名前的に僕はすごい気に入ってますね。
早川さんはどうですか?

早川

僕は半島物語と言うものに対しては、農家さんと直結するっていった点で、小林さんと一緒なんですけど、
半島って言ったらこの辺りで言えば渥美半島であって、いろんな農作物がある温暖な地区なので、
やっぱりその名前には僕も魅力を感じていましたよ。より食材に対する思いというのがその名前に出ているのかなと
いうのは感じましたね。

小林

イメージは付きやすいかも知れませんね。

早川

そうですね。太陽がポカポカ出てて、春になったら菜の花がパァーみたいな(笑)

小林

高橋さんはどういう思いだったんですか?

高橋

渥美半島っていうか、全国の半島のいい食材を語りべのようにシェフに紹介して、みんなの心をほぐしていきたいなーって。そんな気持ちからですかね。

小林

なるほど。

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「地消地産」の考えについて

小林

「地消地産」っていうと、農家からすると、今までは市場とかに出荷したらもうそこで仕事って
ほとんど終わりなんですよね。実際に誰にどういう風に届くのか知りたくても知れないのが現状なんですけど
実際やっぱり知っている飲食店さんとかに食べていただけるとか、地元の人とかに「美味しい」って言って食べてもらえるのは
農家さんがモチベーションが上がる考え方かなっていうのが自分の中では思ってますけど。

早川

「地消地産」ですね。よくこの言葉っていうのはいろいろな地域で言われていると思うんですけど、
それこそ以前高橋さんに言ったみたいに、じゃあ飲食店側が何ができるかなって考えたら、やっぱり飲食店は
お客さんが食べてくれて「美味しかった」って言ってもらえるけど、農家さんでそれができるかって言ったらお店にはいないじゃないですか。
だからそこができないって言ったところで、さっき高橋さんが言ったように、
農家さんがいて、市場があって、そこから家に行って、お父さんや子ども達に食べてもらってっていう、これだけでも長い道のりがあるんだけど、
やっぱり生産者さんの思いを僕達が汲み取ってそれを伝えるっていうことをしていくために
じゃあ「これが北海道産の何とかで、北海道の誰誰さんが作ってます」っていうよりは「渥美の小林さんって言う、ヒゲでメガネしてる人が作ってるんですけど(笑)」って。

小林

ははは(笑)

早川

例えば、そういう人が作ってくれてるんですよっていうのを、どういう風にお客さんに届けていくのかっていうことが
その「地消地産」っていうのに、近ければ近いほど説得力が出てくるのかなっていうのはありますよね。
それこそ小林さんとは先日もお会いして、今日もお会いして、これからもどんどん会っていくので、
やっぱり物だけでなく人と人とのつながりもあって、それが「地消地産」につながって行くのかなって思いますね。

高橋

そうですね。「地消地産」っていうのは、地元で作った食材を地元のシェフにマジックをかけてもらって食べてようよっていう考え方なんです。
季節限定のものもあるけど、シェフが必要なものをどんどん畑で作って、ここのレストランで使う食材は
作りますよっていうのも、シェフからの要望として農家さんにお伝えする、私達はその架け橋になりたいって思います。

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半島物語の食材はどうですか?

早川

ほんとに率直に言いますと、あのセロリとかトマトとか、もぎたてのものを食べた時の衝撃はすごかったですよ。

小林

おー!

早川

ハリであったりとか、それこそ以前体験させてもらったトマトの浮く浮かないとか、実際にああいうのを目のあたりにするとやっぱり新鮮ですよね。

小林

はい。

早川

朝採ってきてくれたものを、如何にその日に使い切るか、っていったところが半島物語の最大の魅力だと思います。
若干コースとかになると、不安な部分もありますけどね。じゃあそれが入るかな入らないかな、とか。
でもそれが逆にいいものが作れるキッカケにもなるんですよ。
例えばじゃあ3日前に余ったキャベツを使っちゃおうじゃなくて、今日こんなの採れたよ、とかいっぱい持ってきてくれるので

高橋

(笑)

早川

そういったいきなりのお題を出されて、その新鮮なものをお客様に届けるっていうのは半島物語でしかできないですよね。
市場とかだったらわざわざ使わないものを買わないので。

小林

あー確かにそうですね。

早川

使ったことないとか、珍しいものとか、そういったのを届けてくれるので、そういうのはお客さんも僕達も
わくわく感がありますよね。

高橋

そうですよね。この食材を使ってどういう料理に変化できるのか腕を試される部分ですね(笑)

早川

こう何か加工して、料理で味付けをするっていうのはすごく大事なことだとは思うんですけど、
本当は一番シンプルにそのまま食べてもらったり、単純なんですけど塩で食べてもらうとか、
それで、そのままガッと食べて味わってもらいたいですね。
まあ、全部それだと「お前何やってんだよ」ってなっちゃいますけどね。

高橋

ははは(笑)

早川

少し前に流行りましたけど「ありのまま」の味を(笑)

小林

(笑)

高橋

農家さんにとっては例えばトマトがもぎたてっていうのは当たり前なんですよね。
「美味しい」っていう表現でざっくばらんに言っちゃうんですけど、どう美味しいのかっていうのも彼らは身体で覚えてるんですよね。
生まれた時からサクッとしたトマトを食べてるのが当たり前みたいになってるし。

小林

そうですね~。

高橋

けど、私達主婦にとっては物流で流れた何日も経ったものが当たり前に食べられている。
その当たり前っていうのを、覆して、本当に新鮮でいいものを使ってお客様に伝えていただきたいなって思います。
例えばトマトっていうのは本当はこうなんだよって。

小林

実際にお客さんの反応ってどうですか?

早川

テーブルに小林さんの写真とか立てて、この人が作ってるんだよって説明すると、
お客さんはやっぱり見るんですよ。

以前、そこでお客さんがトマトがメインの料理を頼んでくれた時に、「トマト好きなんですか?」ってしゃべりかけたことがあるんですよ。
「好きなんです」って言ってくれて、「この人が作ったトマトなんですよ」って話をした時に
お客さんはすごく喜んでくれたんですよ。やっぱり安心するんですかね?
お客さんにとっては農家さんて遠い存在なので、誰が作ってるっていたらヨボヨボのおじいさんが作ってるイメージが
その人にはあったみたいなんですけど、「おお、若い人が作ってるんだ」っていう話もあったりして、
誰が作ってるっていうのを知るっていうのがお客さんも安心するし新鮮な感覚みたいで。
そういうのを肌で感じましたね。

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実際農家さんならではの調理方法とかってあるんですか?

小林

調理方法ですか?実際それが農家さんならではなのか?とかが分からないんですよね(笑)

早川

漁師さんて「漁師メシ」ってあるじゃないですか?「農家メシ」みたいなのはないんですか?

小林

農家メシですか~。

早川

例えば自分の家では出るけどレストランとかでは見たことないなぁみたいな。

小林

例えばキャベツだと丸ごとレンジでチンするんです。そうすると甘みが凝縮されて、糖度が上がるんですよね。
キャベツ農家はよくそれを言います。
それこそ、キャベツ自体を器にして、中に肉団子を入れたり、それをフォークとナイフを使って食べたりとか、
そういうのもちょっとしたアレンジでレストランでも使えるんじゃないかなって思いますよ。
野菜もいっぱい食べてもらえるし。

早川

ロールキャベツみたいな感じですかね?

小林

そうですね。

早川

確かに野菜って、すごい力を持ってますよね。僕も他のシェフに教えてもらったんですけど
例えばキャベツをアルミホイルで包んでオーブンで1時間ぐらいかけて焼くだけなんですけど。
それでもすごいんですよね開けた時の変化が。たぶんどんな野菜でもそうだと思います。
今なら人参・レンコン・さといも・キャベツとかもそうですけど、野菜の持つ水分だけでここまで変化があるのかって思います。

高橋

農家自体は火を加えなくても食べれるものを出しているんですよね。
だからキャベツもトマトもトウモロコシとかも、普通は火を入れたり、茹でたりとか焼いたりして食べるんですけど
畑からもぎとったばっかりのものは生でそのまま食べれるんですよ。
私も試食って必ずするんですけど、畑から持ってくるときに、「この糖度はどのくらいかな」って自分の舌しか頼りに
ならないけど、必ずこの畑のものはどれくらいの糖度かなって食べてみるんですね。
そうするとやっぱり畑ごとに違いますし、「これだったらオススメできる」ってわかるんです。
ほとんどの食材が生で食べれるものなんですよ。それを普通に物流で流れた食材だと糖度がどんどん落ちてしまうんです。
そこが半島物語が通常の物流と違うところで、物流に時間をかけないというところがすごい強みだと思ってます。

小林

そうですね~。農家メシっていうのもあるのかも知れないですけど、名前がないので、
なんて言って説明していのかな~?

早川

漁師メシって「なめろう」とかありますもんね。

高橋

お腹すいたら畑で食べるよね(笑)?

小林

そうですね(笑)お腹すいてペコペコな時はそのままかじっちゃいますね(笑)
ちょっとコレ熟れすぎたんで食べちゃおっかな~って(笑)

高橋

私達も仕分けしてる時でも、ちょっとこれは形が悪いかなぁってやつは食べちゃいますよ。
味は一緒なんで(笑)

今度こういう料理やってみたいなってありますか?

早川

前に高橋さんにいろんな農家さんの畑に連れて行ってもらった時に感じたことは
「その畑で一皿を作りたい」

小林

おー!カッコいいですね。

早川

同じ畑の中でも、例えば大根があったり、キャベツはその時はなかったけど、
水菜があったりとか、同じ畑の中で何種類も育てている農家さんもいたので、
「その畑をお皿でどういう風に表現するか?」っていうのを作って、「●●さんちのサラダ」みたいな、
「この人の畑で全部採れた野菜なんですよ」っていうのをやってみたいですね。

高橋

確かに農家さんは自分達が食べるものはいろいろ作ってますからね。

早川

それだとなんかイメージがパパっと浮かぶので是非やりたいなって思いますね。
他には、やっぱり地元を代表する野菜料理というか
この辺りでいうと、うずら・大葉・キャベツとか、有名なものがたくさんあるのに、野菜を完全にメインとした
名物料理っていうのがこの辺りってないですよね?
例えば「カレーうどん」みたいな。

小林

あーはいはい。

早川

だから野菜を使った名物料理とか作っていきたいっていうのはあります。

小林

是非作って下さい!

早川

お店のお客様に出す一皿っていうよりは、せっかくこうやってたくさんの人が半島物語に携わっているので、
やっぱり地域貢献みたいな、盛り上げるっていう意味で考えてますけど。

小林

今のお話を聞いて思ったんですけど、自分としては今まで出荷してきて
そういう風に食材が使われているのとか、料理人さんが考えてこういう風に提案していきたいっていう思いは
ほんとにすごい嬉しいことですね。
半島物語と出会う前までは飲食店さんに向けて食材を作っているっていうよりも、市場に向けて作ってることが多かったんですよ。
でもこの先は、「地消地産」っていうのも考えていくと、飲食店さんのニーズとか、同じキャベツでもその中でも品種が違うものとかいうのもシェアに入れていきたいって思います。
そういうシェフの方の情報や考え方をリアルタイムで得られるっていうのが農家としての強みっていうのは思いますね。

今後、半島物語に求めるものは?

高橋

何でも聞きますよ(笑)

早川

直接もっと畑に行く機会が欲しいですね。

高橋

いいですよね。

早川

前回行って本当に良かったなって思いました。
やっぱり農家さんの人柄を直に感じて、それを伝えていきたいっていう思いがあるので。
例えば、ごつくて怖そうな人が作っている畑の隅に、ちょっと花でも植えてあったら何かいいですよね(笑)

小林

ははは(笑)

早川

そういった人柄を知ると、作り手もそれこそ食材を無駄には絶対できないし、その人が作ったものをしっかり伝えていきたいですね。

高橋

そういえば実はお花って農薬がかかってなかったらどんなお花でも食べれるんですよ。
虫がつかない為に農薬をかけるので、ほんとに無菌状態のハウスでしっかりと作れば食べれるんです。

小林

そのへんに生えている雑草も?

高橋

雑草は風で農薬が来ちゃうから食べれないんですけど。

小林

そうなんですね。

高橋

そうなんです。知らない事っていっぱいありますよね。

早川

たくさんありますね。ははは(笑)

高橋

農家とレストランの温度差っていうのがものすごくあるんですよ。
それを私はなるべく縮めていきたいなーって思います。
知らないことを農家も発信していかないといけないし、シェフ達が不思議に思うことも、農家では当たり前のことだったりするみたいで。
それを縮めて、どんどん知識を提供して、お客様に伝えていきたいなーって。
だから、こういう情報をいろいろ教えてくれるシェフがここにいるっていう、知らなかったことが、今言ったようなお花の話も
お客様に伝えることによって、お客様は「あ、ここでそういうものが食べれるんだ」「こんなことも教えてくれるんだ」っていう付加価値が付きますよね。

早川

確かにそうですね。

高橋

虫喰いとかもたまに勘違いされますよね。虫が食べてたらもう食べられないみたいな。
でも虫が食べるっていうことは、人間にとっても美味しいってことなんだけど。

小林

そうですね。ある意味虫が一番最初に判断してくれてるのかも知れないですね(笑)。
誰よりも早く。美味しいから食べちゃうっていう。

早川

虫はちゃんと家に帰りなさいよとか言われないから、好き放題やってますね(笑)

高橋

他にも、甘みが凝縮されていて美味しい大根とか白菜って、霜がおりて枯れたようになるんですよね。
だけど、市場ではそれは「みっともない」って言うんです。「みっともないから陳列してくれるな」って。
一番美味しいのに。お客さんも分かってる人は、わざわざ野菜の頭を触って、枯れてるかどうかを
確認してから買うんですよ。だけど、バイヤーはそんなことは言いませんよね。

早川

見栄え重視?

小林

まあそうですね。綺麗なやつを。

早川

ほんといま市場に行って、若い主婦の人たちとか見ると、たまに思いますね。
昔っていろんな食材を直で八百屋スタイルで「おじさん、この大根どれが一番いいの?ちょっと安くしてよ」とか、
そういうのがあったと思うんですけど、今の市場ってほとんど無人じゃないですか。売り場に関しては。
どういう野菜がいい状態なのか教えてくれる人が今なかなかいなくなっちゃって、
若い主婦の人たちはお母さんからそういったこともあまり聞いてないとか、そういう人が子どもにも何を教えれるかって言ったら、どんどん難しくなってくるので、確かに僕達が教える側にならないといけないですよね。

こういう風に食材を食べてもらいたいっていのはありますか?

小林

そうですね。僕からすると料理の内容っていうよりも、一番伝えたいのは、食材によって時期があるんですけど、
その時期を知ってもらいたいなっていうのがあります。
それが朝採りで、新鮮でって言っても、中には新鮮でも2日後が一番美味しいとかそういうのがあるんですよ。
それを、例えば新鮮だからって言って早く使っていただくのはありがたいですけど、これは新鮮だけどちょっとあんまり良くないじゃないかって
ていうことになりかねないのは、僕としてはやっぱり…。
半島物語のいいところは、農家が出荷する時まで熟れた状態で保てるところですよね。
例えばトマトとかだと市場へ出荷する時は青いうちに採って、その後流通する期間を見込んで、市場にに並ぶ頃に
熟れるっていうことを計算していかないといけないんですけど、そういう点では、その食材に合った時期っていうのを
農家の人が手入れするなり、料理する人が知っていて、その時期を見逃さないで欲しいかなって思います。
例えばトウモロコシなんかは本当に糖度が落ちるのが早くて、1分でも1秒でも早いほうがいいのかなっていう
のはありますけどね。半島物語はそれが可能な流通だと思いますので、そこは一番押したいですね。

早川

野菜の勉強をしに行ってた時に、まさしくそれを言われてましたね。

高橋

美味しい時を知るっていうのは、やっぱり生産者じゃないとわからないですよね。

小林

そうですね。

早川

難しいですね。

小林

そうですね。難しいですね。

高橋

物流が流れるのが当たり前だと思ってるから。

早川

世の中の大半がそうですよね。

小林

そうですね。まずはそれがベースですよね。
そのように植栽してますから。

高橋

イチゴなんかでもヘタのすぐ1mmから2mmぐらい下のところが白い状態でないと出荷できないんですよ。市場は受け取ってくれないんです。
そして、売り場に並ぶ時に完熟になるようにっていう。
味は雲泥の差がありますよね。物流が流れるとその分、糖度が少ないうちに採っちゃうから。

早川

市場が味よりも見た目で判断しちゃうってことなんですね?

小林

まあそうでしょうね。

早川

本当に美味しいものを食べようと思ったら、やっぱり直で「今です」っていうものを持って行った方がいいわけですね。

小林

そうだと思います。

半島物語を今後どうしていきたいですか?

高橋

新鮮で美味しい時を知っている生産者が、シェフともっと温度差もなく、近い存在でエンドユーザーさんにお伝えしていただけるような
語りべになっていきたいなって思います。
シェフも生産者さんもエンドユーザーさんもみんなが温度差があるんですよね。その温度を均等にして、みんながシェアできるように
何が知らないのか、何を知っているのか。知っていることを表に出して、温度差を縮めていけたらなぁって思います。
だから、いろんなシェフにどんどん農家さんのところへ行って、いろんな知識を聞き出して、
お客様に伝えて行っていただけたらなって思います。

早川

将来的に「半島物語」はどういう方向に進むのですか?

高橋

将来的には愛知県全域を半島物語の食材で埋め尽くしたいなって思います。
お客様に美味しいものをどんどん提供できるように、もっと食材の価値っていうのを分かっていただきたいな。
農家さんがいなければ私達は、食べるものがないんですよ。
農家さんに対し、作っていただく感謝、またそれを料理して提供していただけるシェフに対しての感謝っていうのを、
食べる側としても理解して味わって欲しいなって。
って言うのはちょっと偉そうかな(笑)?

小林

そんなことないです(笑)

早川

じゃあ、そのためのファーストステップと言うか、今おっしゃったことが仮にゴールだとして、
まず最初のステップは何をやろうと思いますか?

高橋

食材の頭から先っぽまで全てに、シェフの方にマジックをかけて欲しいなって思いますね。
料理してると本当は食べれるけど、いいところだけとって、後は使わないってことが多いと思うんです。
例えば端っことかね。
そういうのって「もったいない」って思うんですよ。
でもそういう使いにくい部分も加工することによって、どんどん食べれるものだと思ってます。
例えばブロッコリーとか、茎の部分ってあまり使われないですよね?

早川

なんとなくわかります!実際はブロッコリーの茎の部分ってすごく美味しいですけどね。

高橋

そうですよね。

早川

僕は茎の部分は細かくカットして、それをオムレツの中に入れたりするんですけど、甘くて美味しいんですよね。

高橋

意外と子どもって花の部分じゃなくて茎の部分を好んで食べるんですよ。

早川

大人はこれは食べれる食べれないって生きてきた中で、物事考えちゃうから、子どものほうが素直ですよね?
美味しいか美味しくないかハッキリ言ってくれる。
美味しかったらおかわりするし、嫌いだったら残すし(笑)

高橋

そうですよね。だから見栄えが悪いとか、使いにくいとかで「食べない」のじゃなくて、
いろんなマジックをかけて、美味しい食材を頭から先っぽまで全部食べてもらうことをまずは広めていきたいですね。

小林

なるほど~。

早川

わかりました。ありがとうございます。これからも半島物語を通して
地元の語りべになれるように頑張って行きましょうね!